真夜中のコンビニ

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「あっ、売り切れている」
静まり返った店内に誰かが発した声が響いた。
そのポロッと吐き出された魂の叫びは休憩室で休んでいた私にも当然、届いた。
私はシュタタタと休憩室を飛び出し、声の発信元へ赴く。
「どうかなさいましたか、お客様?」
「無いのよ。私がいつも買っている・・・ええと、なんだったかしら。細くて長い」
「煙草ですか」
「ううん、違うわ。ドリルの中にチョコがぎっしり入っている」
「ああ、チョココロネですね。ごめんなさい。それ、売り切れじゃないんです。販売終了したんですよ」
「あら、そうなの。残念ね。美味しかったのに。なんで終了したの?」
「恐らく、人気が無かったんじゃないかな。だから・・・」
「つまり、私がマイノリティだったって事」
「そうなりますかね」
「それじゃ、今、何が一番人気なの?」
「納豆バナナワッフルです」
「嘘でしょ。なんでこんなものに私のチョココロネが負けたの」
公開:20/06/14 14:30

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