280. 湖の移動(続き)

そんなある日のこと、今度は琵琶湖が移動をし始めた。
一体何処を目指しているというのか？
人びとは連日の報道に釘づけとなり、多くの人が琵琶湖周辺に駆けつけてスマホで動画を撮ってはYouTubeなどのSNSに上げた。
琵琶湖は北西の方角へずりずりと進むと、ついには日本海に溶けてしまった。
その様子をリアルタイムにニュースで見ていた霞ヶ浦とそこに集結していた他の湖たちは、一斉に喜びのさざ波を立てた。
「「恐れをなして琵琶湖が日本から逃げ出したぞ！やった！これでついに我々が日本一だ！！」」
と、喜んでいたのも束の間、数日後、琵琶湖は友達である世界一の大きさのカスピ海を連れて日本へと戻ってきた。
「さぁ、カスピ海さん。生意気な反逆者たちを丸のみにして下さいよ」

カスピ海は一瞬考えた後、大きく口を開けて日本列島を丸のみにすると
「グエッ」という大きなゲップをして、また元の位置へと戻っていった。