チャイナ・リング

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友達の武は手品が得意だ。
そんな彼に挑戦者が現れた。隣町の小学校に通う、浩という同学年の少年で、放課後に河川敷で勝負をする事になった。

僕と武が水切りをしながら待っていると、約束の時間に遅れて浩が来た。
「待たせたな、これの準備に手間取った」
彼が手にしていたのはチャイナリングという四本の輪っかで、互いを叩いていき、最終的にバラバラだった輪を全て繋げるという、有名な手品用品だ。
「刮目しろ!僕の技を!」
と、言って浩は見事に輪っかを繋げた。
「さすがだ浩。君は僕に次ぐ手品少年だ」
と、武が言うと、当然浩は怒った。
「どういう意味だ!」
「あれを見ろ」
武が川面を指差す。するとそこには、武の水切りで出来た波紋の輪がそれぞれ一本だけ残っており、まるでチャイナリングの様に繋がっていたのだ。
ファンタジー
公開:20/06/14 11:05
更新:20/06/14 12:28

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