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絶対に五分遅れてくる子がいます。
「ちゃんと五分前行動してな」って散々言われても直りません。それで、集合時間を五分早めるという動議が出たのですが、「一人のために、なんでうちら全員が五分急がなあかんの?」と異論が出て、結局、最寄り駅が一番近い私が、その子を迎えにいけばいいと……
私一人が「三十分前行動」を強いられることになるのですが、それが公共の福祉なのだそうです。
迎えにいくとその子はちゃんと玄関で待っていました。時間通りの電車に乗り、集合場所まで道に迷うこともなく、トラブルもありませんでした。
でも、私たちは五分遅刻しました。
その子と私はみんなに責められました。私はわけがわかりませんでした。「ごめんね」と、その子が私に頭を下げました。私は曖昧にうなづくことしかできませんでした。
その後も、その子は集合に必ず五分遅れるし、その日以来、私も五分遅れてくる子になったのでした。
「ちゃんと五分前行動してな」って散々言われても直りません。それで、集合時間を五分早めるという動議が出たのですが、「一人のために、なんでうちら全員が五分急がなあかんの?」と異論が出て、結局、最寄り駅が一番近い私が、その子を迎えにいけばいいと……
私一人が「三十分前行動」を強いられることになるのですが、それが公共の福祉なのだそうです。
迎えにいくとその子はちゃんと玄関で待っていました。時間通りの電車に乗り、集合場所まで道に迷うこともなく、トラブルもありませんでした。
でも、私たちは五分遅刻しました。
その子と私はみんなに責められました。私はわけがわかりませんでした。「ごめんね」と、その子が私に頭を下げました。私は曖昧にうなづくことしかできませんでした。
その後も、その子は集合に必ず五分遅れるし、その日以来、私も五分遅れてくる子になったのでした。
その他
公開:20/06/12 10:14
星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。
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