娘の強さに気づく時

0
1

娘は虫が大嫌いである。
大きな虫では、恐怖におののき。
小さな虫でもキャーキャー逃げ回る。
 思春期に入った娘は、父親である僕に「うざい。」としか言わなくなった。でも、虫が出現した時だけは僕を頼るのである。僕は娘にひと泡ふかせようと考えた。
 『ああ、変化の神様、僕をレインボーでゴージャスな虫にして下さい。』
 虹色に輝く虫なら娘も昆虫好きになるかもしれない。淡い期待を寄せてレインボーな虫になった僕はそっと娘に近づいた。
 娘の気づきは早く、顔に最大の嫌悪感をだすと、
 「キャー!ゴキブリ!ママー、早く来てー!」
 えっ。僕はゴキブリになったのか?まじまじと自分の姿を確認すると、黒光りするそれは、まさにゴキブリ。
 『ひどいよお。神様。』
 ひととおり騒いだ後、誰も助けてくれないと悟った娘は、「うざい。」といつものセリフを言った後に、スリッパで僕をたたきつぶした。
 娘よ。強くなったな。
ファンタジー
公開:20/06/12 09:20

ゆらら風

ショートショートは時間を気にせず、読めるのがいいですね。情熱大陸を観て、書いてみたらはまりました。ワクワク、ほっこり、??な素敵なお話を書けたらいいな。
 突然のフォローすみません。まだまだな私の文章をフォローしていただいて、ありがとうございます。
 へこたれず、素敵な世界を創れるよう精進あるのみです。ᕦ(ò_óˇ)ᕤ

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容