ご利用は30分まで

公園のベンチ。いつも人気で満席の為、お年寄りが休みたくても座れないと苦情が殺到していた。ある日、対策済みベンチになったということで、どんなものか試してみようと座ってみた。
目の前には「ベンチの使用は30分までとしてください」という看板がある。
座っていると段々ベンチが温かくなってくる。30分が近づくと、ジリジリと焼けるような熱さになってきた。なるほど、これか。それでも我慢していると。

ドシン！
いきなりベンチが湾曲して尻が下に落ちた。

ピンポーン！
なんとベンチの下にスイッチがあり、それが押されてピンポーンが鳴り出した。

わらわらわら！
「いらっしゃいませ、コーヒーはいかがですか」「くず餅あります」「へい、並一丁」
ピンポーンに呼ばれて近所の店が一斉に勧誘にきた。

「いや、あの、いいです」なんとか勧誘を振り切った後ベンチを見ると、何事も無かったかのように普通のベンチに戻っていた。