光り輝く指

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彼は想像する。
大観衆の前でピアノを奏で、喝采を浴びている自分を。
とことん弾いてきた。
365日、欠かす事無く、絶える事無く。
体が栄養を求める様に、彼の指先は鍵盤を求めていた。
周りから見れば途方もない努力だが、ピアニストが天職である彼には散歩してるも同然だった。

「弾いているときが一番幸せ。」
弾くことは彼の人生の一部であり、一曲終えたら、又、弾きたくなる。
彼をそこまでさせるのは人を感動させたい気持ちからだ。
仕事だからという事ではなく、人の役に立ちたいという概念。

やる気にさせる。生きている意味。
そんな事は学ばなくても本能的に分かっている。
だから彼は天才なのだ。
弾いているだけで彼の心は満たされ、人の心に安らぎを与え、もっと良い作品を作りあげる。
その光り輝く指は、又、他の誰かを光輝かせる。
幸せの連鎖が人の心を救い、世界中に愛を届ける。
その他
公開:20/06/13 11:02

ポエマータカノ( 横浜 )

愛を言葉で伝える事が使命だと感じている。
42歳のおじさんです。
カラオケ、料理、笑わすこと、読書、哲学、物思いにふけること大好きです。

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