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経営不振に陥っていたある製薬会社で、一発逆転を果たすべく、世界中で大流行している新型ウィルスに対抗する新薬の開発が急ピッチで進められていた。
無理気味のスケジュールで開発したためか、できたばかりの試作品を被験者に投与したところまったく効果がなく、それどころか副作用として全員が強い倦怠感と頭痛を訴えた。
大事件にもなりかねない惨状だったが、副作用の症状は半日で収まり、後遺症もないことが不幸中の幸いといえた。
肩を落とす研究チームを前にして、社長は思わず手を打った。
「まさに、これだ」
こうして、世界で初めて仮病で会社を休みたいときに飲む薬が発売され、製薬会社は倒産の危機を脱した。
公開:20/06/13 10:14

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