三線
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そこは路地裏の店だった。玄関先には素焼きのシーサーが二体鎮座していた。
僕は引き戸を開けてなかにはいった。古書や琉球ガラスの雑貨達。
「いらっしゃいませ」
奥から老店主がでてきた。手には三線。
「なにかお探しですか」
「あ、とくになにが、ってのはないんですけど……でもなにか買いますよ。面白い品揃えですよね。いまかかっている曲もブラインド・レモン・ジェファーソンだ。僕も昔のブルースが好きで」
「……」
あ、なんか喋りすぎちゃったかな。
「わかりますよ、あなたは良い青年だ。見えなくてもわかる」
この老人も盲目だったのか。ブラインド・レモン・ジェファーソンも盲目だ。
「戦争でね、私は光を失った。失ったのは光だけではないけれど……。大和に乗っていたんだ。沖縄は故郷です」
老人は三線を弾いた。いい音色だ。さまざまな感情が絡んだ奥深い音色だった。
僕は引き戸を開けてなかにはいった。古書や琉球ガラスの雑貨達。
「いらっしゃいませ」
奥から老店主がでてきた。手には三線。
「なにかお探しですか」
「あ、とくになにが、ってのはないんですけど……でもなにか買いますよ。面白い品揃えですよね。いまかかっている曲もブラインド・レモン・ジェファーソンだ。僕も昔のブルースが好きで」
「……」
あ、なんか喋りすぎちゃったかな。
「わかりますよ、あなたは良い青年だ。見えなくてもわかる」
この老人も盲目だったのか。ブラインド・レモン・ジェファーソンも盲目だ。
「戦争でね、私は光を失った。失ったのは光だけではないけれど……。大和に乗っていたんだ。沖縄は故郷です」
老人は三線を弾いた。いい音色だ。さまざまな感情が絡んだ奥深い音色だった。
その他
公開:20/06/13 02:04
Senoku ALMA
https://note.com/shiro_mid
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