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ああ、まただ。
君が僕の名前を呼ぶ声に、まわりの人が振り返る。でも君は構わず顔いっぱいで笑うんだ。八月の向日葵みたいに。
君は僕の手をつかんで尋ねる。
「ねえ、どこに行く?」
いつも僕は、どこでもいいよとしか言えなくて。
馬鹿だな。
何で君の喜びそうな場所のひとつも探さなかったのだろう。
一度だって、人が振り向くぐらいの大声で、君の名前を呼んだだろうか。
一度だって、君の手を自ら包んだだろうか。
「つまんない。私のこと、全然好きじゃないみたい」
そう言い残して、君は僕の前から消えた。
その時も、僕は何も言えなかった。
君が嫌なら仕方がない。そう思うことで逃げていた。
それは君からの最後のチャンスだったのに。
でも僕ときたら何の言葉も浮かばなくて。
ああ、ならばせめて手を伸ばして、君の手をしっかり握ればよかったのか。
遠い昔の夏。
今でも僕は思い出すんだ。
八月の向日葵を見るたびに。
君が僕の名前を呼ぶ声に、まわりの人が振り返る。でも君は構わず顔いっぱいで笑うんだ。八月の向日葵みたいに。
君は僕の手をつかんで尋ねる。
「ねえ、どこに行く?」
いつも僕は、どこでもいいよとしか言えなくて。
馬鹿だな。
何で君の喜びそうな場所のひとつも探さなかったのだろう。
一度だって、人が振り向くぐらいの大声で、君の名前を呼んだだろうか。
一度だって、君の手を自ら包んだだろうか。
「つまんない。私のこと、全然好きじゃないみたい」
そう言い残して、君は僕の前から消えた。
その時も、僕は何も言えなかった。
君が嫌なら仕方がない。そう思うことで逃げていた。
それは君からの最後のチャンスだったのに。
でも僕ときたら何の言葉も浮かばなくて。
ああ、ならばせめて手を伸ばして、君の手をしっかり握ればよかったのか。
遠い昔の夏。
今でも僕は思い出すんだ。
八月の向日葵を見るたびに。
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公開:20/06/12 19:08
言葉にするのは大切なこと
2019年11月、SSGの庭師となりました
現在は主にnote・TALES・公募でSS~長編を書いています
留守ばかりですみません
【活動歴】
・第2回 日本おいしい小説大賞 最終候補(小学館)
・第31回やまなし文学賞 佳作『雨を知るもの』
・創作大賞2025 入選 『栗と牡丹』
・SSアンソロジー『ベリショーズ』寄稿
・ホラーアンソロジー『ウタ・カタ』寄稿
【刊行】
・第31回やまなし文学賞受賞作品集(山梨日日新聞社)
・栗は月色、こがね色 和菓子処長月堂(朝日文庫)
【note】
https://note.com/akishiba_note
【Twitter】
https://twitter.com/CNecozo
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