金色の観覧車

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 観覧車に乗っていた。
向かいの席に座っていらっしゃるのは観音様だった。
(夢か……)
 観音様は夕陽に照らされ、金色に輝いていた。
「商売は上手くいっておるのか」
「それが、上手く回転していないのでございます」
「なら、金色の観覧車を置くがよい」
 
 私は小さな雑貨店を営んでおり、手作りの置物、バッグなどを販売している。
 観音様がおっしゃる通り、金色の観覧車を作ってみた。手のひらに乗るほどの小さな観覧車だ。さらに、小さな観音様を乗車させた。つまり、これを置けば商売が上手く回転し金回りも良くなる。という縁起物だ。

 その観覧車は、まったく売れなかった。
 その夜。夢で、観音様にお叱りを受けた。
「観覧車を売れとは言っておらんぞ。置けと言ったのだ」
「私の頭の回転が悪かったようでございます」

 夢から覚めた私は、観覧車に立派な台座を作り店頭に置くと、客回りがよくなり繁盛した。
 
 
ファンタジー
公開:20/06/11 17:50
スクー 手のひら観覧車 観音様

豊丸晃生( 大阪 )

ショートショートの神様、星 新一を崇拝しています。お笑い好きで怪談も好き。
お笑いネタのような作品が多いですね(笑)
【受賞作品】
「渋谷シティ」
渋谷ショートショートコンテスト優秀賞受賞。
「我が家の食卓」
ベルモニーショートショートコンテスト入賞。
「電車家族」
隕石家族ショートショートコンテスト入賞。
「大男の力自慢大会」
「スカイフィッシング」
空想競技2020ショートショートコンテストW入賞。

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