四百字怪談【冷たいベンチ】
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ある夏の夜。飲み会の帰り道だった。おれは、ふらふらと公園にあるベンチに座った。
ひんやり冷たい。
蒸し暑いさなか、そのベンチは異様に冷たかった。
心地よさに、そのまま横になって眠ってしまった。
どれくらいたったのか、ベンチの背もたれの向こうから、
ちりん、ちりん、ちりん……
と、鈴の音が地面を這うように、近づいてくる。
怖い。
体が重く身動きができない。
鈴の音が止んだ。
日本髪を結った着物姿の女が、上から覗いている。血の気のない真っ白な顔。髪に刺したカンザシの鈴が揺れていた。
「つれてって……」
おれは首を横に振ると、瞳のない目を剥き、大きな口を開けた。
歯がぼろぼろ抜け落ちて、ベンチに転がった。
生温かい芝生の上だった。傍のベンチから落ちて目が覚めたのだ。まだ深夜で、おれは逃げるように公園を出た。
朝。枕元にあった歯の欠けらを窓から投げつけた。
ひんやり冷たい。
蒸し暑いさなか、そのベンチは異様に冷たかった。
心地よさに、そのまま横になって眠ってしまった。
どれくらいたったのか、ベンチの背もたれの向こうから、
ちりん、ちりん、ちりん……
と、鈴の音が地面を這うように、近づいてくる。
怖い。
体が重く身動きができない。
鈴の音が止んだ。
日本髪を結った着物姿の女が、上から覗いている。血の気のない真っ白な顔。髪に刺したカンザシの鈴が揺れていた。
「つれてって……」
おれは首を横に振ると、瞳のない目を剥き、大きな口を開けた。
歯がぼろぼろ抜け落ちて、ベンチに転がった。
生温かい芝生の上だった。傍のベンチから落ちて目が覚めたのだ。まだ深夜で、おれは逃げるように公園を出た。
朝。枕元にあった歯の欠けらを窓から投げつけた。
ホラー
公開:20/06/10 12:46
更新:20/06/11 17:59
更新:20/06/11 17:59
スクー
温度のあるベンチ
怪談
ショートショートの神様、星 新一を崇拝しています。お笑い好きで怪談も好き。
お笑いネタのような作品が多いですね(笑)
【受賞作品】
「渋谷シティ」
渋谷ショートショートコンテスト優秀賞受賞。
「我が家の食卓」
ベルモニーショートショートコンテスト入賞。
「電車家族」
隕石家族ショートショートコンテスト入賞。
「大男の力自慢大会」
「スカイフィッシング」
空想競技2020ショートショートコンテストW入賞。
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