人形の秘密

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旅芸人の俺は人里から人里と渡り歩く。そんな俺の必需品と言えば手形帳である。
ある日俺は山の向こうの隣村と向かう際、関所で手形と一緒に人形も受け取った。
「使わないに越した事はない。念の為に持っていてくれ」
関所の者にそう言われ、俺は首を傾げながらも人形を荷物の端に括り付けた。
山の日は暮れやすいという。まだ正午を過ぎたばかりだというのに早くも暗くなり始めた。その時だ。
山の上から人食い山姥が走ってきた。俺は急いで逃げる。しかし荷物が重くて速く走れない。荷物は体にしっかり括り付けている。もう駄目だ!
その時だ。山姥は荷物の端に括り付けていた人形を引き千切った。俺は山姥が人形に夢中になっている隙に急いで逃げ出した。
予定より早く隣村に着いた俺は関所の者に山姥に襲われたと説明した。
関所の者は「人形が役に立っただろ」と言う。
成程。だからここは手形と共に人形を持たせるのか…また話のタネが出来た。
ファンタジー
公開:20/06/09 19:31

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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