消えるメガネ

消えるメガネというものを手に入れた。
このメガネをかけると、視界から不要なものが消えるのだ。
おかげで、会社でいらない部下や不要な書類を見つけるのに重宝している。
おまけに、外を歩いていても不要なものが視界から消えてくれるから歩きやすくなって助かっている。
「ただいま」
家の玄関を開けて妻にそういう。
だが、返事がない。
「どうしたんだ」
というのも、妻は目の前にいるからだ。
「おい」
そういって肩を叩くと、妻は驚いていった。
「あら。帰ってたの」
「そういういい方はないじゃないか。ところで、お前がメガネをかけてるなんて珍しいな」
「そうなの。ちょっといい物を手に入れて。なんでもこれをかければ不要なものが視界から消える……」