0
2

三毛猫のミケが私に向け、やたら鳴いている。
餌が欲しいのか?違う。餌はあげたばかりだ。
水が欲しいのか?違う。新しく入れた水にも流れる水にも興味を示さない。
遊んで欲しいのか?違う。玩具をちらつかせたがそっぽを向かれた。
じゃあ…甘えたいのか?
ミケを膝の上に招き、その背を優しく撫でてやる。
いつもはこうすると嬉しそうにするミケだが今日はご機嫌斜めのようだ。
背に触るな!と言わんばかりに私の手を引っ掻いてくる。
それは昔飼っていた黒猫のクロにそっくりな仕草。
だから、もしや…と思い、顎の下を優しくこちょこちょする。クロはこうされるのが大好きだった。
ミケはうっとりした表情を浮かべ、私に身を委ねてくる。
数分後、ミケは「ミャァ」と鳴くと私の膝で眠り始めた。
私は固まった。その鳴き声はクロの鳴き声だ。ミケは「ニャア」と鳴く。
空耳か?と思ったがそうではないだろう。
だって今日はクロの月命日だ。
ファンタジー
公開:20/06/08 18:47

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容