大人のシャボン玉

　彼女は一人アパートに帰り着き食事をすませて、一心地付く。お風呂に入って、好きな音楽を低く流し。ちょっとネットを覗いてみる。
　「さてさて」おもむろに、コンビニで買ってきた「大人のシャボン玉」を取り出してみる。
　ベランダに出て手すりに寄りかかり「大人のシャボン玉　使い方」を読む。容器の口を開けて中の液体に、先に輪っかの付いた専用のストローを浸けて、それを唇をちょっとキュッとつぼめて、おなかに力を入れてゆっくり「フゥ」っと吹く。
　シャボン玉には、きょう一日のつらかったこと、悲しかったこと、我慢したこと、言えなかったこと、いろんな思いが詰まって膨らむ。
　放たれたシャボン玉は風に乗って漂い、急に天高く巻き上げられるように空へ登る。
　彼女の胸はスッキリと軽くなる。
「うん、これは、リピ決定！」