自由広場

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日常から離れたこの広場を見つけた時、私は悩んだ。
趣味に表現、発言を自由に行えるというのは、難しい。

試しに普段の想いや愚痴を呟いていると、人がぽつぽつとやってきた。
懐疑心を抱きつつも構わず心の内を吐露していると、暫くしてその人達は私の言葉に賛同してきた。
驚いた。
こんな私に同調してくれるとは。

それから幾年か経ち、広場に人が増え、何千もの人が徒党の様に私の言葉に呼応するまでになった。
多勢に認可されるのは、心が躍る様だった。

しかしある時、誰かが私の文言に対し苦言を発した。
すると普段の何倍もの人が、何処からか集まり始めた。
各々勝手な事を言い、私への賛成意見はかき消され、広場は私の場所ではなくなった。
いつもの様に昔と変わらず、愚痴を言っただけなのに。
所詮ここも現実と一緒。
抑圧の目。
幸災楽禍の目。
目。
目。



私は全ての人を殺すつもりで、アカウントを消した。
ホラー
公開:20/06/09 10:53
日常 ホラー

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