誰も知らない

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もう何人目?いい加減にして!

「お前は何にもできない」と馬鹿にしていた夫が突然、失踪した。だけど彼がいなくなっても生活にはそれほど困らなかった。このマンションがあったから。だから、何としてでも入居者を確保してマンション経営していかねば。交通アクセス最高。新築、角部屋最上階。

なのに、なのになぜなの?入居してもすぐに出て行ってしまうのはなぜ?最初は新生活に心弾ませて挨拶に来るのよみんな。でも、少しずつ心が蝕まれて、目は虚ろで髪を振り乱して一心不乱にお経を唱え始める。そして、口を揃えて同じことを言う。


「誰かにずっと見られている」

「爪を立てて毟るような音がする」

そんなわけないでしょう。『事故物件』なんてネットに書かれでもしたら誰も借りてくれない。やっぱりちゃんとお祓いした方がいいかしら?困ったわ本当に。だって、


夫を壁に埋め込んだことを誰も知らない。そう、私以外は。
ホラー
公開:20/06/08 23:54
更新:20/06/08 23:55

Yukino.

2020年6月1日より執筆活動開始(これまでオリジナル小説、二次創作等の執筆歴なし)

ストーリーが映像化して突如、脳内を流れ始めるタイプです。みなさまの応援、コメントが励みとなります。作品をお読みいただき、心より感謝申し上げます。

twitter @hikaritokage14


Yukino.

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