成人の儀
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ジャーナリストの男は広場に集まっている十数人の若者をじっと見つめていた。
「もうそろそろですよ」
男の隣に立つ村長がかすれた声で言う。
すると一房のぶどうを持った大男が現れ、若者のもとへと向かった。
「あれが例のぶどうですか?」
「ええ」
「残酷だとは思わないのですか?」
男は最大の疑問を口にした。
村長は一瞬悲しげな顔をする。
「大昔から続いている成人の儀式ですから。運のない者には去ってもらうしかない」
若者たちが一粒ずつぶどうの実を受け取ると、低く重い笛の音が響き渡った。
それを合図に各々口の中へとぶどうを放り込む。
と次の瞬間、大きな爆発音とともに一人の青年の頭が吹き飛んだ。
「今年はあの子か」
村長が呟いた。
周りの若者たちは安堵の表情を浮かべている。
青年のもとには二人の年寄りが泣きながら近づいていった。
男はその光景を見ながら、風に乗ってきたさわやかなぶどうの香りを感じた。
「もうそろそろですよ」
男の隣に立つ村長がかすれた声で言う。
すると一房のぶどうを持った大男が現れ、若者のもとへと向かった。
「あれが例のぶどうですか?」
「ええ」
「残酷だとは思わないのですか?」
男は最大の疑問を口にした。
村長は一瞬悲しげな顔をする。
「大昔から続いている成人の儀式ですから。運のない者には去ってもらうしかない」
若者たちが一粒ずつぶどうの実を受け取ると、低く重い笛の音が響き渡った。
それを合図に各々口の中へとぶどうを放り込む。
と次の瞬間、大きな爆発音とともに一人の青年の頭が吹き飛んだ。
「今年はあの子か」
村長が呟いた。
周りの若者たちは安堵の表情を浮かべている。
青年のもとには二人の年寄りが泣きながら近づいていった。
男はその光景を見ながら、風に乗ってきたさわやかなぶどうの香りを感じた。
その他
公開:20/06/08 23:13
ショートショートに魅入られて自分でも書いてみようと挑戦しています。
悪口でもちょっとした感想でも、コメントいただけると嬉しいです。
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