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これと言って趣味のなかった私は本屋で何となく目に入った「年刊 包丁を極める」を購入し、包丁の虜となった。
最初はどこにでもある包丁から始まった。包丁には用途に合った正しい使い方があるなんて知らなかった。奥深いその世界は刀剣と同じである。
普通の包丁に始まり、刺身包丁、骨切り包丁、牛切り包丁といった様々な包丁を学んでいく。出刃包丁は怖い話以外で初めて見た。鉋だって立派な包丁の一つだ。
それ以外にも炙り専用の炮丁。水分を保たせる泡丁。食材を優しく包み込む抱丁。飛び道具的な砲丁。これらは初めて見た。
これらの包丁を極めるに普通は1年以上かかる。
しかし、基本の包丁から始め、刃を包み込むように丁寧に接していけば、1年以内の習得も可能となった。
私は今、念願叶って自分の店を持つ事が出来た。これも全て、あの時、あの本と出合ったからである。
そんな私の店の名は『包亭』。
雑誌、第50号の記念付録である。
公開:20/06/07 19:13

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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