消毒の死角

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政府が「現金価値判定制度」の導入を決定した。
現金に付着したウイルスや菌を算出し汚染度合いに応じて実際の価値から差し引くという。
レジや、自動販売機、自営業向けにハンドスキャナーなど対応する機器が即座に導入された。
現金は不特定多数の手を介するにも関わらず、無条件に人に愛される特異性があり、消毒対象の死角とされていた事に政府が警鐘を鳴らした形だ。
知らずに支払った人の中には、1万円札が5千円にまで減ってしまったり、駄菓子を買いに行った小学生が支払った10円玉ですら価値が減るといった事案もみられた。
トラブルや苦情は多く見られたが、日々の生活に直結するため
お札をアルコールで拭き、小銭を熱湯消毒する新習慣がうまれた。
しかし、どれだけ入念に消毒しても現金が本来の価値のまま判定される事が無くなってしまった。

体の良い増税だと噂されたが
一気にキャッシュレス決済が普及したのは言うまでもない。
その他
公開:20/06/07 15:56
更新:20/07/07 00:12

吉田図工( 日本 )

まずは自分が楽しむこと。

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