魔法の正体

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 深夜の通販番組で注文した、『魔法の杖』が届いた。
 ごつごつした外観は、テレビで見たそのもの。ずっしり重い。杖と一緒に簡単な説明書きが同封されていたが、俺はのっけから隅に追いやった。説明書きなんて、どうでもいい。特に目を通さず、とにかく杖に手を伸ばした。

 手あたり次第に、魔法でしたいことは何でもやってみた。物を浮かす、炎を出す、瞬間移動……。水を酒に変えたり、お金をジャンジャン出したりもした。
 そんなある日、急に魔法が使えなくなった。その頃には、軽々と振り回せるくらい手に馴染んだ杖。苛立ちまぎれに、通販会社にクレームの電話をするとこう返された。

「使い捨ての杖ですので。すごく軽くなったら、そこで効果は終了です」
「えっ、そうなの!? じゃあ、魔法で出した一億円は……」
「お客様。説明にも書きました通り、そもそも魔法は存在しません。その杖は、使用者にただ幻覚を見せるだけです」
その他
公開:20/06/07 12:34
更新:20/06/07 13:25

草方良月( 日本、東京 )

はじめまして(^^)   くさかた よしつき と申します。
本が好き、特に小説が好きで、いつしか自分でも書いてみたい……!という思いが募るようになりました。

ほそぼそとですが、noteやTwitter、ブログもやってます♪

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