黒田黒男

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愛情を注がれたものは
何を語らなくても分かるものだ
虫はあまり得意ぢゃない
ある日 レモンの木にそいつは現れた
黒田黒男
息子が言う「あれ、とって」
渋々我が家に黒田君を迎えることになった
黒田君は思春期なのかちょっととがっていて 白黒の服ばかり着ている
それでも「おやすみ黒田くん」とゆうと 「おぅ。また明日な」とちゃんと返してくれるのだった
夜 大きな緑のカバが訪ねてくる夢を見た「レモンにオレンジ、山椒もすきです あなたの事も大好きですよ」
プニプニと弾力のあるウォーターベットのようだった
次の朝 黒田君は服を着替えていた
「緑の服の方がモテるからさ」
そう言い放つ黒田くんの姿はほんのり照れ臭く たくましいのであった
いつか黒田君は蛹になって
立派な羽をつけたら この家を出ていくだろう
本当は少し寂しい
でも私は 丁寧に虫籠を洗い
レモンの木の下でまた黒田君が遊びに来るのを待つのだ
ファンタジー
公開:20/06/07 22:47

ミルコ

挿絵はコロナで展示ができなかったチビ太さんにご協力して頂きました

ものづくりをしてます

よろしくお願いします
 

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