雨の日のシーン
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帰るなりベランダに飛び出し、乱暴に洗濯物を取り込む。急な雨にやられるのは、もう何回目だろう。部屋に投げ込まれた服の山に、涙が溢れてきて止まらなくなる。
「傘を置いてきゃ雨が降り、傘を持ってきゃ晴れになる」
そうなんだ。天気はいつもあべこべで、いつもしっくり決まらない。みるみる力が抜けてって、まるで背骨がないみたい。
「雨の恵みに傘などいらぬ。過ぎる日照りにゃ傘欲しい」
今度の声はすっと染み込み、足の裏から抜けていく。吹き込む雨はそのままに、部屋には戻らず耳すます。
「雨に涙を隠したら、すべてを忘れて振り向くの」
素直に首をまわしてみると、ぼんやり見えるあの人が、ちょうど玄関しめたとこ。傘は立てかけたまま…。
「傘を持ってきゃ、やむんでしょ。だったら傘は置いてくわ」
だめ。あなたは私じゃないんだから、もう。
「傘を置いてきゃ雨が降り、傘を持ってきゃ晴れになる」
そうなんだ。天気はいつもあべこべで、いつもしっくり決まらない。みるみる力が抜けてって、まるで背骨がないみたい。
「雨の恵みに傘などいらぬ。過ぎる日照りにゃ傘欲しい」
今度の声はすっと染み込み、足の裏から抜けていく。吹き込む雨はそのままに、部屋には戻らず耳すます。
「雨に涙を隠したら、すべてを忘れて振り向くの」
素直に首をまわしてみると、ぼんやり見えるあの人が、ちょうど玄関しめたとこ。傘は立てかけたまま…。
「傘を持ってきゃ、やむんでしょ。だったら傘は置いてくわ」
だめ。あなたは私じゃないんだから、もう。
ファンタジー
公開:20/06/06 20:35
400字って面白いですね。もっと上手く詰め込めるよう、日々精進しております。
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