本当の親友 ~男泣きに暮れた夜~

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「よく言うだろ……。『逃した魚は大きかった』て」
 どうしようもない感情を、あてもなく放り投げるように浩平は口にした。僕は、ただじっと話を聞きながらグラスを傾ける。
「なんで、なんでもっと、有紀子とちゃんと向き合わなかったのか……。今になって、すごく後悔してる」

 浩平の目が、赤く充血してる。酒のせい、だけではないだろう。冬でもないのに鼻声がかった彼の声から、押し殺したような悲痛が漏れる。
「俺、何のために、がんばったんだろ……」
 どうしても、視線が浩平の右手に持った小箱に向かってしまう。男性が愛する女性に渡す、人生で最も大事な贈り物がその箱には納められていた。

 ポタッと、彼の目から小さな水滴がこぼれた。
 無念や後悔。どうしようもなさや、向け先の無い怒りや悲しみ。
 やるせない思いがとめどなく溢れる親友に、僕はただ、なすすべもなくその場にいてやることしかできなかった。
青春
公開:20/06/06 19:34
更新:20/06/07 12:44

草方良月( 日本、東京 )

はじめまして(^^)   くさかた よしつき と申します。
本が好き、特に小説が好きで、いつしか自分でも書いてみたい……!という思いが募るようになりました。

ほそぼそとですが、noteやTwitter、ブログもやってます♪

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