頭痛のひどい少年

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ものすごく頭の切れる少年がいる。ひどい頭痛持ちでもある。

頭痛は難解な社会の現代病だ。少年は何でもとことん突きつめて考える。考えれば考えるほど脳にストレスがかかる。頭痛は激しくなる。

ある日、少年は近所の公園へと気晴らしの散歩に出かけた。りんごの実が木から落ちてきて、ニュートンと万有引力の話を思い出した。逆転の発想がいかに大切か、語りかけてくる伝説のことを。

少年の思考回路に何かが降りてきた。

「そうか、頭痛が僕に取り憑いているわけじゃない。僕が頭痛を呼んでいるんだ。考えるから頭が痛くなる。頭痛は、僕が考えている証しなんだ」

つまり。悪くないだろう。

「頭痛と仲良くつき合おう、くらいでちょうどいいのかも」

以来、頭が痛くなると、少年はワクワクするようになった。

「もしかして、これは新しい発想が浮かぶ前兆?」と。

病は気から。いつしか、頭痛は少年のもとから去っていった。
その他
公開:20/06/07 00:24
更新:20/06/07 09:10

ふみなか( 東京 )

40代半ばの会社員。家族は妻、中3息子、小6娘。つらつらと文章をつづるのが好きです。読んでいただけたら嬉しいです。

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