愛ノカタチ

0
3

父を怒らせ、蔵に閉じ込められた。
でも用意周到に懐中電灯を隠しておいたから探索へ。
すると、煎餅の缶から手紙が。
「じいじの恋文か?」
手紙にミチコとある。
だが、ばあばの名前はミチヨ。
「『会イタイ無性ニ』」
日付から戦時中に書いたもの。
読むほど胸が締めつけられた。
「おーい」
蔵にじいじが入ってきた。
「あ、それ。丁度良い。自慢の孫よ、俺が死んだらそれを棺に入れてくれ。初恋の女に宛てたものだ」
「良いけど、何で出さなかったの?」
「空襲で死んじまったからな。手紙出す前にその娘の妹から知らせがきたんだ」
「そっか。なら、その人のお墓に届けようよ」
「それもそうだな」

後日。その人のお墓へ。
「あ、ばあば」
「あら、あなた」
ばあばはじいじを見て頷いた。
「行くよ」
突然僕の手を取るばあば。
じいじだけ墓に残った。
「お姉ちゃん、良かったね」
ばあばの独り言に、僕は時代を感じた。
その他
公開:20/06/06 21:58

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容