頭痛物語

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頭が痛い。
「昨日、カニを食べなかった?」
…食べた。
「やっぱり。稀にカニの呪いにやられることがあるのよ。ハサミで後頭部を刺してくるの」
どおりで頭がチクチクすると思った。

今日もまだ頭痛がする。
「昨日、シメサバを食べなかった?」
…食べた。
「たまに思いきりしめてくるのよ」
どおりで頭が締めつけられるように痛むはずだ。

なかなか頭痛が治らない。
「昨日、クルミを食べなかったかしら?」
…食べた。
「殻を割られたクルミは、時に人を呪うのよ」
どおりで頭が割れるように痛むと思った。

それにしてもひどい頭痛だ。しかもだんだん強くなる。そもそも食べ物に呪いがあるなんて知らなかった。今日は焼肉だったけど大丈夫だろうか。

深夜二時。
女は、藁人形の頭を七輪の炭火にかざした。藁の焼けるツンとした匂いがキッチンに立ち込める。
「今日はこんなのどうかしら?」
女は楽しげな笑みを浮かべて呟いた。
ホラー
公開:20/06/05 19:11
本日とんでもない頭痛につき 変なお話を書いてしまいました お許しくださいませ 今夜は早く寝よう…

秋田柴子

2019年11月、SSGの庭師となりました
現在は主にnoteと公募でSS~長編を書いています
留守ばかりですみません

【活動歴】
・東京新聞300文字小説 優秀賞
・『第二回日本おいしい小説大賞』最終候補(小学館)
・note×Panasonic「思い込みが変わったこと」コンテスト 企業賞
・SSマガジン『ベリショーズ』掲載
(Kindle無料配信中)

【近況】
 第31回やまなし文学賞 佳作→ 作品集として書籍化(Amazonにて販売中)
 小布施『本をつくるプロジェクト』優秀賞

【note】
 https://note.com/akishiba_note

【Twitter】
 https://twitter.com/CNecozo

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