ちょうどいいラブレター

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郵便屋の僕にとって、言葉の重さが計れるようになったことは大きな転機だった。

薄っぺらい言葉は、どこかへ飛んでいく。
気持ちのつまった言葉には重みが生まれる。その分切手代も張るけどね。

こんな時代だからこそ、ラブレターってすっごく大変!

みんな重いラブレターをどれだけ書けるか、貰えるかを競っているんだ。

なかには本当にめちゃくちゃおもーいラブレター書く人もいてさ、
重すぎて、運ぶこっちの身にもなってくれよってくらい!

ま、重すぎて相手が受け取りを拒否することもあるんだけど。

こんな昨今だったからさ、自分の片手で持てるくらいのラブレターを配達することになった時は驚いたよ!

だってあんまり重くないんだもの!

こりゃあ、書いた人の恋は終わったなって、書き手に同情しちゃった。

けど届けてみたら違ったんだ。
相手は嬉しそうにこう言ったんだぜ。
「ちょうどいいラブレターね」って!
ファンタジー
公開:20/06/05 09:14

瀬那ゆり子

皆さんからのコメントが、
とても嬉しいです。
どうぞよろしくお願い致します。

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