チョコレート

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ふいに差し出されたチョコレートに面食らう。


下校途中の橋。
「ハイ」
〇子がショルダーバッグから取り出したのは、チョコレート。
「食べかけで良かったら」
チョコはひと列分中身が無い。
銀紙を剥いて頬張るとすかさず言われた。
「ああ!間接キスしたあ」
「てお前舐めたわけじゃないだろ」
「どうしよう、間接とは言え〇〇君に唇奪われちゃったあ」
言葉と裏腹に楽しそうな〇子の笑顔に怒りも湧くのに何故か頬は綻ぶ。
「からかって楽しい?」
「うん楽しい!」
〇子の目に微塵も迷いは見えない。
「糖分は必要だよね」

戸惑う俺に〇子の言葉。
「甘いひとときって必要でしょ?」
言いながら〇子は俺の手からチョコを取り上げる。
「食べ足りないから返してね」

「余計な事かもしんないけどさ」
「?」
「間接キスになるんじゃ……」

〇子は笑顔で答えやがった。
「仕返ししないとね」

初夏の空は抜ける様に青い。
青春
公開:20/06/05 06:27

ダッチマン( 山形県 )

田舎住まい故 娯楽も無く小中と本の虫でした。それが高じて今は駄文を書いています。
文力向上の為に批評ダメ出し大歓迎です。伏してご批評お願いいたします。
狭義のショートショートには当てはまらないかもしれませんが、あくまで短文の物語りを広義のSSと捉えて投稿させて頂いています。何卒ご容赦を。

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