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へたり込んでいる〇美の肩を軽く揺すって声を掛ける。
「こんなとこで寝てると風邪ひく」

「!?」
目覚めた〇美が首を回して伸びをする。
「お前根詰めすぎだろ」



〇美が目指しているのは俺なぞお呼びでない名門大学。

俺には想像も出来ない努力が必要なんだろう。
図書室の床にへたり込んで本を片手に居眠りとか。
見ていて痛ましい。
「そこまでして行きたいもんなのかねぇ」Fラン志望の俺は呑気に聞く。
「〇〇君は呑気でいいよねえ」まあ確かにそうだ。

「御免、今あたし酷い事言った…」
起ちあがった〇美が半分泣きそうな顔で髪をかき上げながら謝る。
「疲れてるんだよ」
「〇〇君優しいんだね」
返す〇美の微笑みが、疲れた中にも思いやりを滲ませて美しい。
「兎に角こんなとこで寝てたら尻が風邪ひく」俺の軽口に手にした本をかざして微笑みを返す〇美。

本棚を後にする〇美の背中に心の中でエールを送っておく。
青春
公開:20/06/05 05:41

ダッチマン( 山形県 )

田舎住まい故 娯楽も無く小中と本の虫でした。それが高じて今は駄文を書いています。
文力向上の為に批評ダメ出し大歓迎です。伏してご批評お願いいたします。
狭義のショートショートには当てはまらないかもしれませんが、あくまで短文の物語りを広義のSSと捉えて投稿させて頂いています。何卒ご容赦を。

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