真夜中のコンビニ

ある真夜中、私はコンビニに立ち寄った。
時間が時間だけに家に帰ってから料理を作るのが面倒臭かったからだ。
ふと見るとそのコンビニの入口にこんな張り紙が貼ってあった。
「このコンビニ、無い物は無い」
なんて強気の発言だろう。
確かにコンビニには色んな商品が揃っている。
雑誌、食べ物、化粧品、文房具と様々だ。
だが、このコンビニに無い物は無いと言われると無いものを注文したくなるのが人の性だ。
「あの～すいません」
「はい、何でしょう？」
「月の音色のラジオＣＤはありますか？」
「ええ、勿論。あそこの奥の棚にありますよ。もしかしてあなた、リスナーさんですか。私もたまに聞いているんですよ」
「そうでしたか。それでは月の音色マグカップはありますか」
「ごめんなさい。店には無いんですよ」
「何でないんですか」
「そう言われましてもこのコンビニに無い物は無いんですよ。入口にそう書いてあったでしょ」