恋する人形

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自惚れな御主人様は今日も笑顔。
「ぼくの肌はぴかぴかで、誰よりも綺麗だ。髪だってさらさらで誰よりも綺麗だ。ほら、あそこの女性も微笑んでいる」
わたしは笑ってしまった。
「あなたは男性なのにお洒落に気を遣うの?」
「男性だって無頓着な人は稀だ」
御主人様は鏡を見ながら髪を整えている。
「引っ越してきて数日になるけど、君はぼくのことどう思う?」
「とても」
「とても?」
「言わないとわからない?」
「うん」
「お芝居で恋の真似事とかあるけど、わたしにはできないな。わたしの瞳と唇に嘘はつけないから」
御主人様はわたしの頭を撫でる。
「ぼくは魅了されているよ」
「はっきり言って」
「言わないとわからない?」
「言葉にして」
御主人様は部屋から出ていく。
「この哀れな肉体は、産毛のように儚い魂でしか繋がりを保てない」
わたしはまた笑った。
「形式的な言葉でいいよ」
「好き」
人形たちは微笑んでいる。
恋愛
公開:20/06/05 23:44

曇かな

試しに小説を書いてみようと思いました!

短めの内容だと伝えたい言葉のすべてを入れることができないので難しいですけど、なかなかやりがいのあるものだと感じます!

良かったらコメントなどもどうぞ!

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