入れ替わり

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「いけない、遅刻遅刻…。」

授業に遅れないよう急いで道を走っていると、曲がり角からお爺さんが走ってくる。

「わっ!」

しまった。これで人生で通算15回目の入れ替わりだ。
俺だった筈の肉体は、「高校生だ、ラッキー!」と言いながら逃げていった。

「曲がり角で衝突したら互いの精神が入れ替わる」現象が世界中で見られるようになった現在、年配による若者との意図的な衝突事件が多発している。

俺は最初は小学生の時に曲がり角で教師と、次は清掃員のおじさん、次は…と既に何度も入れ替わっている。
意図的・偶発的な入れ替わりの結果、今では肉体にオリジナルの人格が入っている人間の方がまれだ。

仕方ない、おじいさんとして生きるか…。と覚悟をして立ち上がる。
曲がり角を抜け出そうとした次の瞬間、野球ボールが飛んでくる。コツン。
すみませーん、と子供たちが俺を持ち上げてグローブに挟む。助けてくれ。
SF
公開:20/06/05 20:19

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