手のひら観覧車

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ある晩、不思議な夢を見た。
大都会のど真ん中でイルミネーションに彩られてキラキラ輝く夜間の観覧車。
澄んだ満天の星空のもと、幻想的な雰囲気を醸し出す観覧車の中で空中散歩を楽しむ一組のカップル。よく見ると男性は俺のようだが、女性は誰かわからない。
二人を乗せた観覧車は、ゆっくりと回転しながら浮き上がり移動を始める。そして、宇宙空間にテレポーテーションした観覧車は、天の川銀河とアンドロメダ銀河を横切る。二つの銀河は互いに接近しながら融合し、その光景を見届けるかのように観覧車は流れ星とともに元の場所に着陸した。
その後、観覧車は何事もなかったように平然と回り続ける。
そこで夢から目覚めた。
すると手のひらに感触があり、観覧車とよく似た形の指輪が握られていた。
数年後、夢で見た女性に偶然出会い、観覧車の頂上でプロポーズをした。そのときに渡したエンゲージリングは、例の指輪だったことは俺だけの秘密だ。
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公開:20/06/05 19:16
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SHUZO( 東京 )

1975年奈良県生駒市生まれ。奈良市で育つ。同志社大学経済学部卒業、慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。
田丸雅智先生の作品に衝撃を受け、通勤中や休日などで創作活動に励む。
『ショートショートガーデン』で初めて自作「ネコカー」(2019年6月13日)を発表。
読んでくださった方の琴線に触れるような作品を紡ぎだすことが目標。
2022年3月26日に東京・駒場の日本近代文学館で行われた『ショートショート朗読ライブ』にて自作「寝溜め袋」「仕掛け絵本」「大輪の虹列車」が採用される。

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