路地の番人

普段と一本違う路地に入るだけでそこには違う世界が広がっている。
家の顔、植栽や、空気、香り、そういった雰囲気まで全く知らない場所に迷い込んだかのような気持ちになる。
それもそのはずだ。路地には路地の番人がいるのだ。路地の番人は、自分の管轄に住んでいる人々の活動を把握している。そこで、管轄外の人がひょっこり現れた時には、悪戯をするのだ。
路地いっぱいに、懐かしさを呼び込むこともあれば、不穏な空気を作り出すこともある。何かが始まりそうなワクワクを醸し出したり、不安を煽ったりする。
知らない路地に一歩踏み込んだ時の、あのなんとも言えない感覚は、すべて路地の番人の仕業なのである。
番人がしっかり管理していない路地は、路地同士があべこべにつながってしまうことがある。本当に、知らない世界に連れて行かれないように、路地を探検するときは気をつけてほしい。