黄色いゾウ

6
7

 博士は黄色いゾウにまたがり、研究所の庭を散歩していた。
「これは珍しいゾウですねぇ」
 と、隣人の男が声をかけてきた。
「キリンと混血させたゾウで、キリゾウというんだ」
「それで、黄色なのですね。ですが、首が長くないですね」
「危険を感じると伸びるみたいなんだが、まだ試験段階なんだよ」

 朝。研究室にいた博士は異変に気づいた。
「焦げ臭いな」
 窓に目をやると隣の家が燃えている。隣人の男が、二階の窓から助けを求めていた。消防車が来るまでに男は助からないだろう。
 博士はキリゾウを出動させた。
「キリゾウよ、あの男を助けてやってくれ」
 博士はそう言い肩をポンポン叩くと、キリゾウの首がビューンと二階まで伸びて、男を鼻で巻き付け、救出に成功した。

「ありがとう! キリゾウくん。君は命の恩人だよ」
 そう言い、肩をポンポン叩くと、首がビューンと伸びて、男は森の向こうまで飛ばされてしまった。
SF
公開:20/06/04 12:43
スクー くびがながいぞう

豊丸晃生( 大阪 )

ショートショートの神様、星 新一を崇拝しています。お笑い好きで怪談も好き。
お笑いネタのような作品が多いですね(笑)
【受賞作品】
「渋谷シティ」
渋谷ショートショートコンテスト優秀賞受賞。
「我が家の食卓」
ベルモニーショートショートコンテスト入賞。
「電車家族」
隕石家族ショートショートコンテスト入賞。
「大男の力自慢大会」
「スカイフィッシング」
空想競技2020ショートショートコンテストW入賞。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容