ある昼下がりの幸せな。

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猫になっていた。
美人で良い匂いのする女の人の膝の上で。
『にゃーん』と鳴いてみた。
彼女が微笑む。なんていい日だ。

『どうしたの、シュガー』
それが僕の名のようだ。白くて柔らかい彼女の手が僕の顎下を撫でた。
ごろごろと喉を鳴らしもっと、とねだる。
『シュガー』
『にゃーん』
彼女が僕の名を呼ぶ度それに応える。心地の良さに微睡んできたけれど、『シュガー起きろー』と彼女が僕を起こす。好きにさせてくれよ、猫なんだからさ。しかし声とは裏腹に撫でる手は休めない。
『シュガー』
『にゃーーん!』
『シュガー』
『にゃーん!にゃーん!』
彼女が穏やかに僕の名を呼んでくれるのが嬉しくて、何度も返事をする。
ああ、最高の気分だ。

「菅ァー、おきろー」
「にゃーん、にゃーん!!」
目を開けると、クラスメイトがくすくす笑ってこっちを見ていた。
……ああ、なんて最悪な日だ。
青春
公開:20/06/04 08:24

ごとうとうご( 日本 )

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