十三階段

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「十三段目は大人に見えないの」
僕の小学校には屋上へと続く階段がある。ただ屋上は立入禁止で生徒がこの階段を使う事はない。僕が四年生の夏、悪戯心でその階段に足を踏み入れた時、女の子に声をかけられたのだ。
「見えないって?」
「君、何歳?」
「十歳」
「じゃあ、十段ね」
その言葉通り、僕は十段目で足が動かなくなった。

あれから二年。僕は再び階段に足を踏み入れた。一段、二段……十段、十一段。そして十二段目に足をかけた時、懐かしい声がした。
「また来たの?」
一段上に、あの時の女の子が立っていた。見た目は変わっていない。
「留年でもしない限り、無理よ」
哀しみに満ちた声。でも問題ない。僕は十三段目に足を……。
「どうして?」
「あの日は誕生日の前日だったんだ。今、六年生だけど十三歳。病気で一年遅れてね。だから、見送りにきた」
驚き、泣き、笑い、女の子はふわり消えた。「ありがとう」と言葉を残して。
その他
公開:20/06/04 23:59

壬生乃サル

まったり。

2022年…3本
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2018年…320本 (5/13~)

壬生乃サル(MiBU NO SARU)
Twitter(@saru_of_32)

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