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天正十年六月四日。ここは本能寺の焼け跡である。明智の軍勢が引き上げた今、一人の宣教師が瓦礫あとをうろついている。

「殿下、遅くなり申し訳ありません。ようやく船の手配が調いました」

遡ること数ヶ月前。天正遣欧少年使節が立って間もなくの頃、ヴァリニャーノは二条城にて面会をしていた。

「わしは戦に飽きた。もっと広い世界というものをこの目で見てみたいのじゃ。後のことは猿にでも任せておけばよかろうて。日向守とも話はついておる」

「さすれば、ポルトガルの船を用意いたしましょう。ご存分に世界をご覧くださいませ」

「頼むぞ。供はそちから受け取ったこの弥助を連れて参るつもりじゃ。その辺も任せた」

「かしこまりました」

このようにして計画が順調に進み、織田信長はヨーロッパへと密かに旅立ったのである。
その他
公開:20/06/04 21:47
347 歴史のif オオカミの自信作

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