くびがながいぞう

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象の王様が死んだ。
強く気高く優しく鼻がとても長い王様だった。
国象は一斉に嘆き悲しみ、泣き声が森にこだました。

「王様の銅像を作りましょう」
家臣が進言した。女王はその申し出を受けた。
「銅像を作るにあたって、一つお願いがあります。王様が生前願っていたことを叶えてあげたいのです」

3か月後、等身大の銅像ができ上った。除幕式には大勢の国象が集まった。
「それでは幕をはずします」

えっ!

現れた銅像を見て、国象は息をのんだ。
首が、首がある。それも長い長いキリンのような首が。

王様は若い頃、神様にお願いをして鼻を長くしてもらった。自らの首と引き換えに。それ以来、空を見上げることも地面のアリを見ることもできなかった。それを憂えていたのだ。

女王が静かに話し始めた。
「今まで王様は長い鼻で皆を幸せにしてきました。これからは長い首を使って遠くまで見渡し、皆を見守ってくれるでしょう」
その他
公開:20/06/04 20:12
更新:20/06/07 23:43
くびがながいぞう スクー

いづみ( 東京 )

文章を書くのが大好きです。

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