マスク
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廃墟を探索している最中、視界の端に白い物を捉えた。
手に取ってみると、それは布のようだった。
長方形で、左右に紐がついている。
脳裏に浮かぶのは歴史の授業。確かこれはマスクというものだ。紐を耳に引っ掛けて口元を布で隠す。病気の予防などに使われていたという。
縫い付けられ、上からプラスチックのシールドで覆われた自身の口元の付近を指で触れる。ウイルスで大気中が汚染された現在、口という部位に触れる機会は殆どない。
口に布をあてるだけで病気の予防なんてできるのだろうか。
実感が湧かない。
その代わりに興味が湧いた。
腕に接続されている食料供給用のチューブを避けて口元のボタンを押す。
が、その直後ににブザーが鳴り響き、僕は慌ててシールドを抑えた。好奇心は許してもシステムは許してくれないらしい。
僕はがっかりしながらマスクを放り投げた。
物に嫉妬するなんて初めてだった。
手に取ってみると、それは布のようだった。
長方形で、左右に紐がついている。
脳裏に浮かぶのは歴史の授業。確かこれはマスクというものだ。紐を耳に引っ掛けて口元を布で隠す。病気の予防などに使われていたという。
縫い付けられ、上からプラスチックのシールドで覆われた自身の口元の付近を指で触れる。ウイルスで大気中が汚染された現在、口という部位に触れる機会は殆どない。
口に布をあてるだけで病気の予防なんてできるのだろうか。
実感が湧かない。
その代わりに興味が湧いた。
腕に接続されている食料供給用のチューブを避けて口元のボタンを押す。
が、その直後ににブザーが鳴り響き、僕は慌ててシールドを抑えた。好奇心は許してもシステムは許してくれないらしい。
僕はがっかりしながらマスクを放り投げた。
物に嫉妬するなんて初めてだった。
公開:20/06/03 00:05
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