2.サヤ遠藤

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サヤ遠藤は激怒した。
給食の時間のことだった。
煮物のサヤエンドウをクラス全員が残したのだ。
これは宣戦布告だった。
サヤ遠藤は人間とエンドウのハーフだ。転校生であり、肌は緑色だ。
それが理由なのかはわからない。
上履きにグリーンピースを入れられたり、机に『畑違い』と落書きもされた。体育のソフトボールではビーンボールを投げられた。
「薄っぺらい奴」
と罵られると、
『若さの証よ』
と反論した。

ある日、新たな転校生がやってきた。
彼女の名前はサヤ院元。
同じ名前、同じ境遇を持つ同志だった。
すぐ打ち解けた二人は、この逆境に抗うことをやめた。
毎晩、塩を入れた風呂に浸かり、水風呂に入ると、肌はより鮮やかな緑色となった。
クラスで浮いていた二人は、今ではクラスを彩る圧倒的な個性だった。
それでも噛みつかれた時、サヤ遠藤はこう返す。
『人を馬鹿にする時間があるなら自分を磨きなさい。マメな人ね』
青春
公開:20/06/04 00:11

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