ワシ、いざ参る。

ワシの名は、イーグルマン。
いかつい鷲の仮面を被り、黒いバトルスーツに身を包んでいる。
そのせいか悪役と間違われる事が非常に多い。
まったく失礼な話である。
これでもれっきとした正義のヒーローなのだ。
そんなワシの自慢はスピード。
【スピードスター】や【音速の貴公子】という二つ名に憧れたものさ。

「キャー！　誰か助けてー！」

助けを求める声は毎日のように届く。
その声を聞きつけ、ワシは現場へ急行するのだ。

「いざ参る！」

現場へ駆け付けるスピードは、どこの誰よりも早い。
そして悪を倒すスピードも。
しかし、いかんせんワシも歳を取った。
現場へ駆け付けるスピードこそ、今でも誰にも負けないのだが……。

「ぜぇ、ぜぇ……い、いかん」
ワシはヒーローとして節目の時を迎えているのかもしれない。
「もう体力の限界じゃ……ま、参った」

そう、駆け付けるだけで精一杯。
悪と戦う余力など、ない。