誠くんの失敗?

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 眩しい朝日が差し込むオフィスの中、誠は、パソコンの前で呆然自失としていた。

 ああ、またやっちまった……。

 全身から力が抜け、頭が動かない。
「……誠くん、大丈夫?」
 出社したばかりの村上さんが、おもむろに尋ねる。
「あ、はい。大丈夫です」
 そう答える誠の顔は、青ざめて引き攣っている。
「あれ、そういえば誠くん……」
 わずかに顔をしかめ、村上さんは鼻に手をやりながら声をひそめる。
「昨日と、同じ服? それに、ちょっと……臭ってない?」
 村上さんが、そっと誠から離れる。青ざめた誠の顔が、今度は途端に赤くなった。
「実は、またやってしまったんです」
「……え、また?」
 きょとんとする村上さんに、誠は心底恥ずかしそうに答えた。

「すみません。仕事に熱中しすぎて、気付いたら朝だったんです!」

 真面目で一生懸命な彼は、時に周りが見えなくなるくらい、真っ直ぐで一途な性格だった。
その他
公開:20/06/03 20:14
更新:20/06/03 20:20

草方良月( 日本、東京 )

はじめまして(^^)   くさかた よしつき と申します。
本が好き、特に小説が好きで、いつしか自分でも書いてみたい……!という思いが募るようになりました。

ほそぼそとですが、noteやTwitter、ブログもやってます♪

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(Twitter)  草方良月@書いてるときは無我夢中 (@kurrosi_ocean)
(ブログ)  それでも書くのが好きだから (https://kurossi-ocean.com/)

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