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陸上特待生として高校入学した俺だが入学早々、アキレス腱の断裂により部活を辞める事となった。
無為な日々が過ぎていく。心の穴を埋める為、俺は勉強に集中する事にした。

「君、綺麗な字を書くね」
図書館で勉強をしていると見知らぬ女生徒に声をかけられた。
「ねぇ、机上部に入らない?」
聞きなれない部活の名に首を傾げる。
「机上部はね、机の上の陸上って呼ばれているの。筆を走らせ、その美しさとスピードを競う。見てて」
そう言って彼女はペンを持ち、ノートを開く。
目を閉じ、深く深呼吸をする。
目を開いた彼女は猛烈な勢いで文字を書いていく。
その姿に俺は目を奪われた。走る筆が、俺に再び風を感じさせてくれた。
「こんな感じ。ね?どうかな?もし、興味あるなら私達と全国大会目指さない?」
全国大会!?その言葉に俺は激しく心動かされる。
「君に、もう一度走り抜ける足を与えてあげるよ」
彼女の手を、俺は取った。
青春
公開:20/06/03 19:33

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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