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その世界では、肉が喋る。
人が食べようとすると、焼かれたり茹でられたりした肉は語りかけてくる。
「僕は岩手県で育てられたんだよ。牧草は美味しかったし、育ててくれた人間のおじいちゃんはいつだって優しかったな。モー」
「オレは海外産さ。防腐剤は使われている。でも、大した量じゃないから安心して食べてくれ。ブー」
牛、ブタ、鶏と同じように、その世界では魚も野菜も喋る。だから人の心には食べ物への感謝が自然と芽生える。お肉さんたち、お魚さんたち、お野菜さんたち、ありがとう。フードロスという言葉とは無縁だ。
翻って、私たちが暮らす世界。肉も魚も野菜も喋らない。
いや、喋っているのだけれど、私たちが耳を傾けようとしていないだけなのかもしれない。
ちょっと想像力を膨らませれば、食べ物たちの境遇に思いを馳せることはできる。
すべては人間側の問題だ。
人が食べようとすると、焼かれたり茹でられたりした肉は語りかけてくる。
「僕は岩手県で育てられたんだよ。牧草は美味しかったし、育ててくれた人間のおじいちゃんはいつだって優しかったな。モー」
「オレは海外産さ。防腐剤は使われている。でも、大した量じゃないから安心して食べてくれ。ブー」
牛、ブタ、鶏と同じように、その世界では魚も野菜も喋る。だから人の心には食べ物への感謝が自然と芽生える。お肉さんたち、お魚さんたち、お野菜さんたち、ありがとう。フードロスという言葉とは無縁だ。
翻って、私たちが暮らす世界。肉も魚も野菜も喋らない。
いや、喋っているのだけれど、私たちが耳を傾けようとしていないだけなのかもしれない。
ちょっと想像力を膨らませれば、食べ物たちの境遇に思いを馳せることはできる。
すべては人間側の問題だ。
その他
公開:20/06/03 16:41
40代半ばの会社員。家族は妻、中3息子、小6娘。つらつらと文章をつづるのが好きです。読んでいただけたら嬉しいです。
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