愛するペット、売ります

ネットを見るたびに狭い画面を埋め尽くすオンライン広告に人々はうんざりしていた。
この消費者行動の課題に目をつけたスタートアップNは、「愛するペットが商品を宣伝してくれたら、知人からの口コミのようにすんなり受け入れられるのでは」と考えた。
そこで開発されたのが、ペットの鳴き声を言語化するデバイスだ。
このデバイスは、初期費用も継続費用も無料。
時々ペットが会話の流れの中で、こんな製品が家にあったらもっと生活が豊かになると勧めてくれるだけだ。
この製品はペットとコミュニケーションが取れると巷で流行し、人々の生活を潤している。
しかし、このデバイスの言語処理アルゴリズムは、実際のペットの感情など一切分析していない。いかに上手に広告を挟めるか。それだけを考えて作られたデバイスが、ここまで人々を魅了し、経済を潤すとは、開発者自身も驚きを隠せず、思わず呟く。ワンダフル。