読像術X線流

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仕事を終えて稽古場に向かった。ビルの一室。師範と数人が来ている。師範席のテーブルに若い女性。新しい入門者らしい。
「えーと、流れる川が見えます」
「最初はそのくらいかな。もっとみると鳥がさえずったり川のほとりに人が見えたりするね」
「はい。ありがとうございます」
読像術は画像を読み取る技術である。観相術と違って被写体を読むのではない。画像自体から豊富な内容を読み取る。対象とする画像は流派の特徴である。我々はX線写真を使うのでX線流と称する。地図や顕微鏡写真、木目模様などを使う他の流派もある。
読み取るのは流動的。師範もその度に違う内容を読む。重要なのは読み込む深度である。
私の順である。師範の前に座る。
師範が一枚のX線写真を広げる。撮影部位は不明。写真から立ち現れる景色や出来事を読む。波静かな浜辺。それから・・。ひとつの世界を観終えたら師範に報告して指導を受ける。
稽古場の夜が更ける。
その他
公開:20/06/02 07:25

たちばな( 東京 )

2020年2月24日から参加しています。
タイトル画像では自作のペインティング、ドローイング、コラージュなどをみていただいています。
よろしくお願いします。

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