ろくろっくびの村

閉ざされた地域に住む私たちの村に、美しい町の若者たちがやってきたのは
つい30年ぐらい前の事だった。

私たちは快く彼らが村に住む事を許したのであったが、
最近村には、新人類と呼ばれる若者が増えてきた、

彼らは私たちの能力を受け継がず成人しても首を伸ばせず、
空を飛ぶことができなかった。

このまま新人類が増えていけば私たちの村人は、
公園にある先人たちの「首が長い像」からかけ離れたものになってしまう、
私たちはこれは退化なのではと危惧していた。

私の娘は新人類だ、もうすぐ生まれてくる娘の子供もやはり・・・
新人類なのだろうか私たちは絶滅危惧種となるのだろうか。

娘を託した産婆さんが慌てて部屋から飛び出してきた

「くびがながいぞ～ぅ」

超新人類は生まれながらにして首が伸ばせて浮かぶことができた。これで安心だ。